正直に言おう。最初はただの「高難易度ドット絵アクション」だと思っていた。壁を蹴り、空中ダッシュを繰り返し、何度も奈落に落ちてはリトライする。そんなストイックなゲームだと高を括っていた。しかし、山の頂を目指す主人公マデリンの旅路は、私の予想を遥かに超えた内面的な地獄と救済の物語だった。
本作の真骨頂は、主人公が抱える「パニック障害」や「自己否定」という名の暗い影を、そのままゲームメカニクスに落とし込んだ点にある。物語が進むにつれ、山を登ることは物理的な困難を突破するだけでなく、自分の中の「もう一人の自分」と和解するプロセスへと変貌するのだ。難易度は確かに高い。しかし、死ぬたびに「失敗しても大丈夫」「やり直せばいい」という優しいメッセージが投げかけられ、プレイヤーは自然と自己受容の心境へと導かれていく。
クライマックス、雪山の中で鳴り響くあのピアノの旋律と共に、過去の自分を抱きしめるシーンの演出はあまりに完璧だった。単なるアクションゲームだと思って手に取った私が、気づけば画面に向かって号泣し、コントローラーを握る震えが止まらなくなっていた。このゲームは単なる娯楽ではない。生きづらさを抱える全ての現代人にとって、登りきるべき心の山なのだ。今、もし何かに立ち止まっている人がいるなら、迷わずこの山を登ることを強く勧めたい。クリアした時、間違いなく貴方の視界は、昨日よりも少しだけクリアになっているはずだから。
サントラだけで泣けるわ