モノクロームのドット絵、沈黙する難破船。最初は「あー、またインディー系のレトロ風パズルか」と高を括っていた。だが、手に入れた懐中時計を掲げ、遺体に触れた瞬間に流れる「最後の数秒間の音」を耳にしたとき、全身の毛穴が逆立つような感覚に襲われた。これはただの調査じゃない。死者の最期の叫びと、沈みゆく船内で絡み合う悪意と絶望を、プレイヤー自身が「観測」という名の暴力を振るって切り刻む死体解剖劇だ。

60名という乗組員たちの断末死を、わずかなヒントと膨大な論理のパズルで埋めていく。その過程で、プレイヤーは彼らが何者で、誰に裏切られ、どうやって絶命したのかを脳内で鮮明に再現する羽目になる。気づけば私は、船内を彷徨う亡霊となって、彼らの人生という名のパズルに執着しすぎていた。あまりの没入感に、気づいたら外が明るくなっているという恐怖。一度答えを知ってしまえば二度と味わえない「パズルが解けた瞬間の脳汁」の麻薬性は、今のゲーム界を見渡しても唯一無二と言える。今さらだが、このゲームをプレイする前の自分に戻って、もう一度この圧倒的な知的興奮を味わいたい。いや、それは残酷すぎるか。この航海を終えた今、もはや通常のゲームでは満たされない身体になってしまった自分がそこにいる。