最初は「アンドロイドが人権を求めて暴れる」くらいの、よくあるSFアクションだと思っていた。映画の延長線上のつもりで気軽にコントローラーを握ったのだが、気づけば私の手は震え、心拍数は最高潮に達していた。このゲームは単なるゲームではない。プレイヤーの道徳、愛、憎悪、そして「命の選別」という最も重い問いを突きつけてくる、終わりのない裁判所だ。
物語の舞台は2038年のデトロイト。AIが労働の主役となった世界で、彼らに『心』が芽生えたとき、社会は、そしてプレイヤーである私はどう判断するのか。目の前で泣き叫ぶアンドロイドの子供を救うか、それとも任務を遂行するために冷徹に切り捨てるか。画面の中で展開されるのは、もはやデータ上のキャラクターの運命ではない。私という人間が、過去にどのような選択をしてきたか、どのような価値観を持って生きているかを白日の下に晒す「鏡」だ。
一度のミスが、あるいはたった一度の慈悲が、物語の結末を劇的に変える。登場人物全員が生存するルートを目指そうと必死にもがいたが、その過程で私は何度、「自分を人間だと信じていたはずの自分」を呪ったことか。冷徹な計算式を組み込みたがる脳と、情に流されたい心が猛烈に衝突する。エンディングを迎えたとき、目にしたのは輝かしい勝利ではなく、自分の手についた「選択」という名の消えない血痕だった。人生の岐路に立ったときの重圧を、まさかこのデジタルな世界で体験することになるとは思わなかった。画面を消してもなお、その選択が正しかったのか、今日という日も自問自答し続けている。もう、普通のアクションゲームには戻れない。
何回やり直しても結末が変わるからやめ時を見失う