最初は「親を殺された少年の血生臭い復讐譚」という王道のバイオレンスアニメだと思って再生ボタンを押した。実際、序盤のトルフィンは憎悪の炎で全身を焦がしながら、ただひたすらに修羅の道を突き進む。視聴者である我々も、その凄まじい戦闘描写と冷酷な殺し合いに脳を焼かれ、彼と一緒に復讐の鬼と化す準備をしていたはずだ。しかし、物語は我々を裏切る。いや、裏切るというより、想像の遥か上から「暴力の先にあるもの」という答えを突きつけてくるのだ。物語が中盤へと差し掛かり、トルフィンが過去の自分と対峙し、他者を傷つけることの虚無と「真の戦士」の定義を理解していく過程は、もはや哲学そのもの。かつて血を求めた少年が、大地を耕し、対話によって争いを回避しようとする姿を追っていると、現代社会の些細なストレスや人間関係の悩みなんて全てがどうでもよくなる。剣を持たず、言葉を武器にするという選択が、どれほど過酷で、どれほど尊いか。作画のクオリティは言わずもがな、静寂すらも演出に変える音響演出が、観る者の精神を研ぎ澄ませていく。最終的に我々は、「誰も殺さずに生きる」という極めて困難な、しかし唯一の正解に辿り着いた彼の背中を見て、一生この「愛」という名の重い十字架を背負わされることになるのだ。もう二度と、単純な勧善懲悪の作品では満足できない体になってしまった。これこそが、魂を浄化し、そして同時に破壊する真の傑作アニメである。