最初は「宝石たちがキラキラ輝いて戦うファンタジー」だと思ってたんだ。硬度とか脆さとか、そんな属性萌えのキャラモノとして軽い気持ちで見始めた。でも気づいた時にはもう手遅れだった。数百年という膨大な時間を生きる彼らにとって、数日や数年の出来事なんてただの瞬きに過ぎない。この「時間のスケール感」を突きつけられた瞬間、視聴者の脳は物理的に破壊される。

主人公のフォスが、好奇心に突き動かされて少しずつ失っていくもの。それは単なる手足や記憶じゃない。物語が進むごとに、彼が「彼」でなくなっていく過程を、私たちはモニター越しに観測するしかないんだ。最初期の無邪気な笑顔が、後半の虚無を纏った表情と重なった時、胸の奥で何かが砕ける音がした。それはまるで、硬度3.5の宝石が日常の中で勝手にヒビを入れていくあの切なさそのもの。

「無機物」であるはずの彼らに、どうしてここまで過酷な「有機的な苦悩」を背負わせるのか。愛、友情、役割、そして赦し。すべての感情が研磨され、削り取られ、最後に残ったのは無垢な祈りだけだった。今、道端に落ちている石ころを見るだけで、かつてそこに誰かの人格が宿っていたかもしれないという妄想に取り憑かれている。宝石の国を浴びた後では、この世界のすべての輝きが、いつか崩れ去るための準備期間に見えて仕方がないんだ。この虚無感、もはや芸術の域に達している。