市川春子先生による『宝石の国』、連載終了から時間が経った今改めて読み返したんだけど、やっぱりこれ、漫画という媒体で到達できる最高高度の哲学書だったわ。
正直、読み終わった直後は「自分が何を読まされたのか」理解するのに数日かかった。最初はキラキラした美しい宝石たちの成長物語だと思ってたのに、気づけば数万年単位の孤独と虚無、そして救済とは何かという壮大なテーマにぶん殴られる。フォスフォフィライトの辿った道があまりに過酷すぎて、一読者として彼を抱きしめたかったのか、あるいは遠くから見守るしかなかったのか、その感情の整理すらつかない。虚無感と圧倒的な美しさが同居する独特の空気感は、他のどんな作品でも代替不可能だと思う。
特に、終盤の「祈り」を巡る展開と、結末で見せたあの寂しげな微笑み。全宇宙が静寂に包まれるような、あの読後感は今でもふと思い出すだけで胸が締め付けられる。これだけの長期間、一つの物語をここまで研ぎ澄ませて完結させた作者の執念に敬意しかない。アニメで入った人には、ぜひ原作の最後まで駆け抜けて、あの地獄のような、それでいて温かい孤独に触れてみてほしい。この作品と出会えたことは、間違いなく人生の財産だよ。