地動説を証明することに命を懸けた、命懸けの「知」の物語。正直、これほどまでに読む側の理性を揺さぶり、脳を直接殴りつけてくる作品にはそう出会えない。中世の閉鎖的な世界観の中で、わずかな観測データから真理を追い求める者たちの姿は、もはや狂気そのものだ。魚豊先生の描く感情の爆発、特に極限状態で見せるキャラクターたちの表情には、魂が引きずり込まれるような引力がある。
物語の序盤から、いとも簡単にキャラクターが退場していく展開には言葉を失う。しかし、その死は決して無駄ではなく、次世代へ狂気的なまでの情熱というバトンが確実に繋がれていく。この「証明」という行為そのものが持つ神聖さと、それが世間から見れば異端でしかないという残酷な対比。ページをめくるたび、自分の知識欲が試されているような感覚に陥る。教養とエンタメが高次元で融合し、ラストシーンに至るまでの疾走感は唯一無二。「知る」ことの尊さと、それを貫き通すことの代償を、これほどまでに芸術的に描いた作品は他にないだろう。読了後、夜空を見上げて星の動きに思いを馳せずにはいられなくなる、まさに一生モノの傑作だ。
地動説でここまで熱くなれると思わなかった