今更だけど『宝石の国』を全話一気見して、完全に「宝石の国ロス」という名の深淵に叩き落とされたんだが、誰か助けてくれ。これ、アニメの歴史の中でも異質すぎるだろ。
まずビジュアルが異常なんだよ。3Dアニメって、ともすれば動きが不自然で安っぽく見えがちじゃん? でも、この作品は違う。宝石たちが光を受けて煌めく質感、硬度による動作の硬さの違い、そして何より戦闘シーンの流麗さ。スタジオオレンジの技術力、もはや魔法だろ。特にフォスが月へ行ってからの、あの「人間味」を削ぎ落とされていく過程の演出には戦慄した。無機質で美しいはずの宝石たちが、誰よりも人間臭く、誰よりも残酷に壊れていく。このコントラストが、見ていて胸を締め付けられるというか、もはや物理的に心臓を抉りにきている。
物語が進むにつれて「何が正解で、何が間違いなのか」という倫理観が崩壊していく感覚がたまらない。最初はキラキラした学園ものかな? とか思って見始めた自分をぶん殴りたい。読み進めれば読み進めるほど、作者の市川春子先生の脳内はどうなっているんだと疑いたくなるほどの独創性と哲学が詰まっている。特に音楽の使い方も神がかっていて、静寂の使い方が巧みすぎて、逆にこちら側の心拍数が跳ね上がるんだよ。これは単なるファンタジーじゃない。仏教的価値観とSFが融合した、極めて純度の高い「概念の暴力」だ。全人類、いや、存在しうる全生命体が見るべき。ただし、見終わった後に自分の殻が剥がれ落ちる感覚を味わう覚悟だけはしておいてくれ。