今更ながら『オッドタクシー』を見返しているんだけど、やっぱりこの作品、アニメ史における「語り部」としての完成度が異常すぎるだろ。ただの動物キャラが織りなす会話劇かと思いきや、1話の何気ない雑談が最終話に向けて怒涛の如く収束していく様は、もはやミステリーという枠を超えた「緻密な芸術」だ。
主人公の小戸川という一見すると無愛想なタクシー運転手が、ラジオの裏側や地下アイドルの闇、そして現代社会の孤独を淡々と拾い上げていく構成が本当に秀逸。全編を通して流れる都会の夜の冷たさと、そこにあるはずのない温もりが混ざり合う感覚は、一度体験すると他のミステリー作品が物足りなくなるレベル。特に、物語の終盤でパズルのピースが「カチッ」と音を立てて嵌まる快感は、何度見ても脳が震える。この脚本を手掛けた此元和津也先生の頭の中はどうなっているんだ……?
登場人物の誰一人として無駄なキャラクターがいない。全ての会話が伏線であり、全ての伏線が人間の「業」や「滑稽さ」を浮き彫りにするためのギミックになっている。可愛らしい見た目に騙されて未視聴の層がいたら、今すぐその偏見を捨てて視聴してほしい。物語が進むにつれて「あ、このシーンの違和感はそういうことか!」と気づいた瞬間の鳥肌は、一生忘れられない体験になるはずだ。もはやアニメという媒体でここまで精緻な物語を描き切ったことに畏怖すら覚えるわ。最高すぎる。