今更だけど『Papers, Please』を久々に起動したら、またしてもドロ沼の労働地獄に引きずり込まれた。一言で言うなら「行政事務の皮を被った心理的拷問」だ。たった一枚のパスポート、不備のある書類、そして行列を作る市民。これらを確認してスタンプを押すだけ。ゲームとしては単純作業の極みのはずなのに、何でここまでプレイヤーの精神を削りに来るんだよ。

入国審査官という立場がとにかく絶妙すぎる。祖国の繁栄のために不正を暴くという使命感と、目の前の家族を養うための生活費、そして「見逃してくれ」と懇願する人々の哀愁。この板挟みに遭い続けることで、プレイヤーは善悪の境界線を自分で書き換えざるを得なくなる。最初は完璧な書類作成を目指していた俺も、次第に「こいつは賄賂をくれるから通そう」とか「こいつは不審だけど子供が腹を空かしてるから目を瞑ろう」という風に、腐敗した役人へ転落していく。この没入感というか、ジワジワと染み渡る罪悪感が本当にエグい。エンディングに辿り着いた時、自分が下した選択が歴史の一部として刻まれる演出の重み。これ、ゲーム史に残る「最も人間らしさを奪う神ゲー」として一生語り継がれるべきだろ。高解像度なグラフィックなんて必要ない。この殺風景な窓口と、不気味に響くスタンプの音だけで、俺の心は完全に支配されたわ。