最初は薄暗い小屋で、不気味な対戦相手とカードゲームをするだけのゲームだと思っていたんだ。ルールはシンプル。生け贄を捧げて強力なカードを場に出し、天秤を相手側に傾けさせる。それだけの、どこにでもあるローグライト系カードゲームだと高を括っていた。だが、そこから先はもう「ゲーム」という枠組みすら怪しくなってくる。小屋の探索、意味深な語り、そしてモニターの向こう側からこちらを見つめるような違和感。このゲームは、プレイヤーが抱く「これはただの遊びだ」という認識を、驚異的な手腕で粉々に打ち砕いてくる。カードゲームというジャンルを借りた、壮大で狂気じみたパズルであり、ホラーであり、そして何より「遊ぶ」という行為そのものを問い直す哲学的な体験そのものだ。
中盤以降、画面の中だけでなく、ファイル構造やPCのシステムすらも巻き込んでいく展開には、もはや鳥肌が止まらなかった。クリエイターの狂気と計算がこれでもかと詰め込まれていて、一度物語の深淵を覗いてしまったら、もう元のゲーム体験には戻れない。特に、カードの裏側で何が起きているのかに気づいた時の戦慄と言ったら。単なるインディーゲームの一枠に収めるにはあまりに惜しい、芸術的ですらある没入感だ。カードに刻まれたのは単なるステータスではなく、世界そのものの「記録」だったのだと理解した時、コントローラーを握る手が震えた。まだ未プレイの奴は、絶対に前情報なしで今すぐインストールしろ。この驚きを誰にも奪わせるな。間違いなく、2020年代のゲーム史に残る怪作だ。