今更ながら『メイドインアビス』に手を出したんだけど、これヤバすぎるだろ…。最初は「可愛い絵柄の冒険ファンタジーだな」って油断してたんだよ。ふんわりとしたキャラクターデザインと、ジブリっぽい広大な世界観に、すっかり癒やされる準備をしてた。でも、読み進めていくうちに気づく。この漫画、描いてる内容の半分くらいが「理不尽なまでの地獄」じゃないかってことに。
アビスという巨大な縦穴は、知れば知るほど底知れぬ悪意に満ちている。未知の原生生物との遭遇、呪いによる身体の変容、そして何より避けられない「上昇負荷」という概念。この世界、探検という名の死の行軍を強いられているようなものだ。可愛いキャラたちがボロボロになっていく様子を、これほどまでに執拗かつ美しく描写する作者の執念に、正直引くレベルで圧倒された。
特に絶望が積み重なる場面では、キャラクターの脆さと生命の尊厳が同時に提示されていて、脳内がめちゃくちゃにされるんだよね。救いがあるのかないのか分からないまま、それでも深層へ向かわざるを得ないキャラクターたち。そんな彼らに感情移入しきってしまっている自分にも戦慄する。単なる冒険譚かと思えば、極限の倫理観を問われる哲学的な問いかけまで仕込んでくるこの構成力は、もはや芸術的というよりは毒に近い。読み終わった後に残る、なんとも形容しがたいこの「ザワザワとした感覚」。もう一度読み返したくなる不思議な引力があって、気づけば自分も深淵の深みに足を踏み入れている。底なしの好奇心と恐怖が同居するこの感覚、味わってみたい人は覚悟して挑んでみてほしい。