正直に告白する。最初は「動物のキャラが喋る癒やし系アニメ」だと思って観始めたんだ。ところがどうだ、蓋を開けてみればそこにあったのは、東京の夜を走るタクシーを舞台にした、極めてハードボイルドで計算され尽くした極上のミステリーだった。主人公のタクシー運転手・小戸川の、どこか冷めた視点を通して描かれる社会の歪み。それが物語が進むにつれて、パズルのピースがカチリと音を立てて噛み合っていく様は、もはや快感ですらない。背筋が凍るほどの緻密な設計図に、視聴者全員が知らず知らずのうちに掌の上で転がされているのだ。特に最終回に近づくにつれて畳み掛けられる、些細な会話や背景に散りばめられた伏線が一点に収束していく様子は、物語のエンターテインメントとしての一つの到達点と言っていい。可愛らしい絵柄と、そこに隠された人間の業や孤独、そして社会の冷徹さが同居する独特の空気感。この作品が描こうとした「現代社会のリアリティ」は、時が経てば経つほどその鋭さを増していく気がしてならない。まだ観ていない人がいるなら、今すぐ全てを捨ててタクシーに乗り込むべきだ。ただし、降りる頃には確実に、世界の見え方が少しだけ不気味に変わっていることを保証しよう。